北海道

第2章 計画の目標

第1節 我が国をめぐる環境変化と国家的課題

(グローバル化の進展)
 人、物、資金、技術、情報などの国境を越えた移動がかつて無いほど迅速かつ容易になり、世界的な競争が激しさを増している。また、WTO(世界貿易機関)体制の下、EPA(経済連携協定)等の交渉が各国間で進められるなど、世界経済の自由化に向けた動きが一層活発になっている。
 特に、東アジア地域の急速な経済成長と産業構造高度化の中で、我が国を含めた東アジア地域全体での生産ネットワークの構築や経済連携の動きが活発化している。我が国の貿易相手も、1980年代には輸出先の6割弱を欧米が占めていたが、2003年には、中国を始めとするアジア地域がこれを上回るに至っている。このような中で、我が国の地域経済社会が東アジア地域の急速な成長をどのように取り込み自らの成長の糧とするかが課題となっている。
 また、世界経済の自由化の動きが強まる中で、国内農業の持続的な発展や食料安全保障の確保が課題となっている。
 
(生存基盤そのものを脅かす地球環境問題)
 世界における温室効果ガスの排出量は、現状では自然界の吸収量の2倍を超えており、地球温暖化による異常気象の頻発、農業への打撃、災害の激化など人類の経済社会活動に対する様々な悪影響が危惧されている。
 また、今後、東アジア地域等の急速な経済成長に伴い、環境負荷の更なる増大が懸念されるとともに、国際的なエネルギー資源の獲得競争が激化するおそれがある。
 さらに、環境負荷の増大により、地球の長い歴史の中ではぐくまれてきた生物多様性が大幅に失われ、生態系のバランスが崩れつつある。
 このような地球環境問題の深刻化により、人類の生存基盤が掘り崩され、経済社会の持続的な発展に支障を来す懸念がある。我が国が世界における持続可能な経済社会の形成を先導していくとともに、美しい国土を継承していくことが課題となっている。
 
(かつて経験したことの無い規模の人口減少と急速な少子高齢化)
 少子化の進行により、我が国は、今後本格的な人口減少社会を迎える。総人口は、2004年の1億2,779万人を頂点に減少局面に入り、21世紀中盤には1億人を割り込むものと見込まれている。また、2005年に20%程度であった高齢化率は、2050年には40%弱まで上昇すると推計されている。
 人口減少により地域社会の過疎化が進行し、活力の低下が懸念されるとともに、保健・福祉などの行政サービスや、地域の共同体そのものの維持さえ困難な状況が生じることも懸念され、人口減少が国の衰退につながらない地域づくりが課題となっている。

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